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シン ゴジラ

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シン ゴジラ

2016.8.31  9.01  9.07 新宿TOHOシネマズにて鑑賞 ★★★★★

本じゃなくて映画なんだけれど、シンゴジラについて。
いやあ、はまった。めちゃくちゃはまった。
経済的な理由で映画自体めったに見に行かない私が
3回も見てしまった。それも、普通上映だけじゃなくて、
特別料金のIMAXとMX4Dでも見てしまったのだ。
ちなみにIMAXは良かったけれど、MX4Dはいらないと思った。

予備知識もほとんど無い、真っ白な状態で懸命にスクリーンを追った。
なにしろみんな早口で、情報量が多い。ついていけない。
ただそんな人間側の動きよりも何よりも、とにかくゴジラの存在に圧倒された。
それまで這っていたゴジラが立ち上がるのを見て、主人公が
「凄い。まるで進化だ」とつぶやくシーンがある。それを私は
「凄い。まるで神話だ」と聞き違え、聞き違えたまま、そのシーンが深く心に残った。

ゴジラは大戸島という離島で古くから言い伝えられた神だ、という設定は
1956年制作の「ゴジラ」第1作からのものだ。
B29が東京を焼き尽くした太平洋戦争から10年後に、
ゴジラはその同じ道筋を通って破壊の限りを尽くした。
そしてそれから60年間、ゴジラは様々な形で語り続けられた。

神話は語り継がれた民族の記憶だ。だから、ゴジラは正しくこの国の神だ。
渦巻く思惑と欲望、自然の気まぐれ、環境破壊。
そんなものに翻弄され、血を流す、この島国の人々の畏れと畏敬の対象。
そして立ち向かうべき運命。

ゆっくりと近づく巨大な姿は私たちの心の根源にある破壊神そのものだ。
(だからゴジラ凍結計画はヤマタノオロチを眠らせた酒の名をとってヤシオリ計画と名付けられた)
もがくように体をくねらせ、突如発光し、見渡す限りを死のパノラマと化す、
その絶望の風景を、ただただ、いつまでも見ていたいと思った。
私はその黙示録的美しさに心を奪われ、飲みこまれてしまったようだ。

だから、それに立ち向かい、前に進む人たちのドラマにそれほど共感はなかった。
とはいえ、最後のヤシオリ作戦には燃えた。
新幹線が颯爽と出撃し、山手線や京浜東北線が空に跳ね上がり、
爆破されたビルの破片が雪崩となって落ちる中、ポンプ車がゴジラに忍び寄る。
うん、完全にやけくそだけど、最高。
この映画、海外の評判はあまり良くないらしいけど、そりゃあ、そうだろうと思うよ。
「無人在来線爆弾」とか言われたって、困るでしょうよ、外国人。

このシンゴジラ、過去のゴジラ映画へのオマージュなだけでなく、
全編にわたって様々な引用やメタファーや遊び心に溢れていて
心憎いまでにオタクの心をくすぐってくれる。
そんな映画が一般の人々に広く支持されて大ヒットしたのはさすがだと思う。
やはり今、ここ、現在を生きる日本人の心を強烈に揺さぶる
何かがこの映画にはあるのだろう。

怪獣映画なだけあって、子供連れもたくさん映画館に来ていた。
しかし子供にはきつかっただろう。強烈なトラウマになって残りそうだ。
そしてその恐怖の記憶の原風景の上に
新しい神話が育っていくのだろう。

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