忍者ブログ

読書メモ

ネタバレありです  ★★★★★ 傑作だ!  ★★★★ 満足  ★★★ 普通に面白い  ★★ なんか足りない  ★ うーん・・・

「死にかけ聖女と皇帝の帰還」

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

「死にかけ聖女と皇帝の帰還」

藍川竜樹 著 集英社コバルト文庫 2016・9・5読了 ★★★

またまた少女小説。少女小説ってラノベの中ではあまり人気がないらしく、一般書店ではあまり揃っていない。しかし、幸いなことにうちからは、名高いオタク書店の書泉グランデが一駅、書泉ブックマートが二駅の場所にあり、散歩するのに丁度よい距離。なので暇さえあれば、気分転換をかねて少女小説をあさりに行けるのだ。少し前までは、書泉グランデの近くに書泉ブックマートがあったのだけれど、ここは残念ながら閉店になってしまった。書泉ブックマートは少女小説にかなりのスペースを割いていて、一時入り浸り状態だったなあ。。

昔から、私が好きで入り浸っていた場所は、しばらくするとかならずつぶれてしまう。ブックマート、神保町のタキイ苗店、お茶の水の名曲喫茶「ウィーン」etc...

話がそれた。「死にかけ聖女と皇帝の帰還」について。これは、何か月か前に出た「死にかけ花嫁と革命の鐘」の続編。死にかけシリーズw 作者の藍川竜樹の「ひみつの陰陽師」シリーズと「覆面竜女」シリーズはどちらもおすすめ。なんというか熱い。そして笑える。ただ、その後続いた一冊完結ものはどうもいまいちな印象だった。薄い、というか。それが死にかけシリーズになって熱さを取り戻した感じ。

最近の少女小説の傾向として、どこのレーベルも長いシリーズものを避けて一作、二作で完結させることが多いみたいだな、と思ったら、「死にかけ花嫁と革命の鐘」のあとがきに書いてあった。本のプロットを編集者に提出する際に「革命だー、みたいなシーンを入れたいです(事件はでかくしませんから)」と一言添えたそうだ。そうか、事件はでかくしちゃいけないんだ。まあ、読者の需要に合わせてるんだろうけど。

死にかけシリーズも基本的に一話完結で、「死にかけ聖女」は「死にかけ花嫁」の次世代の話になっている。「死にかけ花嫁」は、革命の鐘というくらいで、なかなかドラマティックな展開で読み応えがあり、病弱なヒロインは本当に死にかけながらも大活躍。「死にかけ聖女」のほうは、血液に癒しの力が宿っているというので、毎日血を抜いていたためヒロイン貧血でふらふらw さらに聖女の力は偽物。罪悪感から聖女(偽)は生に執着がなく、何かあればすぐに命を投げ出してしまう。前世代の「死にかけ花嫁」が常に死と隣り合わせの状態でありながら、生に執着し、しぶとく生きているのと対照的で面白かった。

子供の頃から偽の聖女として奇跡を演出してきた「死にかけ聖女」はかなりの役者で、最後には一世一代のペテンで聖女を演じ切って悪を倒し、ヒーローと結ばれて幸せになる。鬱屈したヒロインの内面をちゃんと描きながらもじめじめとした展開にはまったくならず、テンポよくヒロインの活躍を楽しませてくれるのはさすがだと思った。

しかし、やっぱり以前のシリーズものほどには読後に満足を感じないのは、やはり、(事件はでかくしませんから)という方向に、作り手がが自制をきかせているせいなんだろうか。。
PR

コメント

プロフィール

HN:
残月
性別:
非公開

P R