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夢殿殺人事件

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夢殿殺人事件

小栗虫太郎 著 青空文庫(Kindle)初出 昭和9年1月「改造」改造社 2016.9.4.読了
★★★

またまた小栗虫太郎の法水麟太郎もの。法水ものは、長編の「黒死館殺人事件」以前に短編が4編発表されていて、それを順次読み終えてから「黒死館」を読むつもりだったのに、なんとなく初めの2作を読んだ後すぐに「黒死館」に飛んでしまった。そこで、またもどって初期短編3作目を読んでみた。

今まで読んだ小栗作品のうち、短編2編はどちらも加害者・被害者のどちらかに宗教的な恍惚や狂信が深く関わっており、長編「黒死館殺人事件」も、天正少年使節の子孫の家系のお家騒動の物語なので、キリスト教と関係が深い。そしてこの「夢殿殺人事件」の、動機も舞台も殺害方法も、宗教がらみ。学識豊かな尼僧たちの営む尼寺の夢殿で、恍惚とした表情を浮かべ、現世ではありえない方法で殺されている奇跡行者と尼僧が発見される、というもの。また、この作品でも取り調べや検証の場面で仏教経典や心理学、歴史など様々な書物からの引用が示されて、「黒死館」を彷彿とさせてくれる。

読みづらいのもやっぱり同じで、とくにこの作品では辞書に載っていないような仏教の専門用語(というかお寺の備品の名称など)や、昭和9年当時は普通にあって、今は無いようなものの描写が続き、場面が想像しづらい。正直ちょっと見では、行者の死因もよくわからなかった。

しかしわからないながらも最後に法水がずべての謎をあまさず鮮やかに解決してみせる様は爽快だ。そして尼僧の殺害方法、というか、犯人が殺害した(する)尼僧を使って行ったトリックがあまりにも常軌を逸していて呆気にとられてしまった。
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