山石コウ 著 レジーナブックス 2016.12.29.読了 ★★★
私はゾンビが好きだ。夫が生前ロメロのゾンビ3部作を借りてきて、一緒に夜通し観た思い出がある。2作目の、ショッピングセンターに逃げ込む話が一番好きだ。おどろおどろしいシーンの合間に、不思議な刹那がある。恐怖でも絶望でもなく、昨日も明日もない、透明な時間。そして気がつけば周囲をゾンビ達に囲まれ、目の前が赤く染まるのだ。。
この本のタイトルにもあるアンデッド城の住人たちも、人食いのゾンビだけれども、彼らには記憶と知性が残っている。そこに迷い込んでしまった人間のヒロインが、生きのびるために毎日料理を作って、城主である辺境伯に食べさせる、というのが前巻のお話。なんだか千夜一夜物語みたいだけれど、千夜もしないうちに、辺境伯はヒロインにほだされてしまう。
今回の話では、隣の領からの襲撃に備え、アンデッド城のメンバーが戦争準備をしている最中、ヒロインが隣の領に攫われてしまう。その救出のため、結局自分たちから攻め入ることになった彼らの運命は?ということで、最後にすべての謎が解けて大団円。
前巻が出たのが一年も前だったので、もう続編はないのかと思っていたので、2巻が出てくれてうれしい。といっても、この作品も「小説家になろう」発なので、ウェブで最後まで読んでいたけれど。でも、かなりの加筆が入って内容が充実していたので、買って損はなかったと思う。