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レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち

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レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち

篠田真由美 著 講談社タイガ文庫 2016.9.24.読了 ★★★

ずいぶん前から19世紀とかスチーム・パンクが流行っているようで、私も早川文庫の「アレクシア女史」シリーズは大好きだ。19世紀ロンドンはオカルトの復興と産業革命、猟奇犯罪に探偵小説、コロニアリズム、巨大資本家、ロマン主義、社会主義といろんなものがぐるぐる混ぜ合わさって熱い熱い。

この小説も19世紀後期のヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたミステリー。美貌の前子爵未亡人が探偵役で謎を解いていく。スチームパンクではない。けれど、読んでいると「アレクシア女史」を思い出してしまう。なぜというに、ほぼ同じ年代の話なのに、登場人物(と著者)の目線が全然違うから。

「アレクシア女史」のほうは、吸血鬼や狼男が普通に生活している世界なので、目線が違うのはあたりまえ、と思いきや。その異常な世界に住んでいるアレクシアの考え方が、当時のロンドン上流社会の常識に沿っているのに対し、レディ・ヴィクトリアの方は、非常に革新的な考えの持ち主で、ロンドンの階級社会を尊重しながらも、自分自身は住まいも服装も好き勝手にしているのだ。アラブ服で来客に応対したりしている。アレクシアなら絶対にしないだろう。

ところがそんな常識を身にまとったアレクシアの起こす行動はかなり大胆で、(本人は意識していないにしても)破壊的でさえあり、ヴィクトリア女王まで巻き込んだ大騒ぎになったりする。一方で、自由な考えの持ち主である奔放なレディ・ヴィクトリアは、うかつにも危険に巻き込まれてしまうことがあるにしても基本的に慎重で、そもそも屋敷からあまり出ない。安楽椅子探偵なのだ。(夫の生前は、一緒に世界中を旅行していたけれど。)同じロンドンの上流階級に属し、さらにそこに納まりきらない技量を持ちながら、この2人の主人公のあり方が正反対なのが、可笑しかった。

実際のところ、「レディ・ヴィクトリア」は、作者があとがきで書いているように、完全に「メイド目線」「使用人目線」の作品だ。レディ・ヴィクトリアに仕える使用人たちはひとくせもふたくせもありそうな人物ばかりで、なにやら物騒な過去を持っていそうである。そしてヴィクトリア前子爵未亡人自身は、アメリカ南部の富豪の出身である。そんな彼らがひなびた地域のテラスハウスを改築してひっそりと暮らしている。いかにも何か秘密がありそうだ。

そして、いくつかの事件が解決した後、新たなメイドとして仕えるべく、一人の少女がロンドンに降り立った。---以下次号。

という感じでこの本は終わった。次巻も読もうかな。
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