高殿円 著 講談社文庫 2016/10月読了 ★★★★★
あまりに動揺しすぎて、この本読んだ後、次々と色々他の本を読んで気を紛らわしていたりしたため、このメモもずっと滞ってしまった。そのうち義父が亡くなって葬儀があったり、風邪をひいたりしていたためもあるけれど。とにかくフィクションを読んだ後、その内容に影響を受けすぎるのは私の致命的な癖なんじゃなかろうか。そのせいでぬるい小説しか読めなくなってしまうかも。でもそれじゃ物足りないし。困った。
インドの王子様と主人公のロマンス、といった枠組みはしっかり少女小説なんだけど、しかし設定がすごい。(→この後完璧にネタバレ)主人公の母親がマタハリばりの女スパイで、外交官の夫との間に主人公をもうけたあと、留学中のインドの皇太子に接近して男の子を生み落とし、姿を消す。男の子はインドの本国で暗殺の危機にさらされたため、それを逃れるために女装してヒジュラ(半陰陽)の集団に紛れ込み、インド各地を放浪することになる。さらにヒジュラと深い関係を持っていた(アサシンのような)宗教的な暗殺集団の中で生活しながら、幅広い知識と体術(暗殺術)を身につける。成長した彼はヒジュラや暗殺集団などの深い業を背負った人々、反大英帝国を掲げる者、自らの地位も守ろうとするマハラジャたち、独立主義者などから祭り上げられたり命を狙われたりする複雑な立場に置かれる。そんな彼が美少女に扮し、同級生「カーリー」として、インドの寄宿学校に送られた主人公の前に現れる・・・。
うう、やっぱりすごい。3巻で終わりかと思って安心して読んでいたら、全然終わっていなかった。早く続きが読みたい。しかし、精神が弱いため、すっきりした終わり方じゃないとまたショックを受けてしまいそうだし。困ったことだ。