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読書メモ

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F・W・クロフツ著 霜島義明訳 創元推理文庫 2017/2/8読了 ★★★★

1920年に出版された、推理小説の古典。死体の入った樽がドーバー海峡を行ったり来たりする。

ロンドンの埠頭で発見された死体入りの樽について調べるためスコットランドヤードの警部がパリに赴く。現地の警察と協力して、入念な調査をすすめるが、その合い間合い間に、仲の良い刑事と食事を楽しんだり、セーヌ川を船で移動してみたりと、余裕である。捜査は驚くほど順調に進み、ついに決定的な証拠を得て犯人を特定、一件落着。と思ったら、実はすっかり真犯人の手玉にとられていた。

この警部さんたち、決して無能なわけではない。公平かつ地道な捜査を続けている。犯人が一枚上手だっただけだ。一方、犯人に仕立て上げられた容疑者の弁護士に雇われた探偵は、初めから真犯人を想定して、彼のアリバイを崩しにかかる。アリバイも、容疑者に不利な証拠も決定的なものと思われ、厳しい状態からのスタートだったが、勘の良さと観察力、そして不屈の精神(パリのナイトクラブへ行って友人と交流するのをキャンセルして捜査を続けたり)で、真相に近づいていく。

追い詰めれた犯人がとった行動は・・・。

あっちにもこっちにも樽が出てきて、いったいどうなってるの?という感じだったのに、真相がわかってみれば、あまりに単純なトリックで驚く。このシンプルな枠組みによって構築された物語の全体像を読後にじっくりと反芻するのは、推理小説の醍醐味だ。
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